90回箱根駅伝 東洋大学の不安要素

続いては、柏原卒業後、3大駅伝で5大会連続2位というずば抜けた安定感を持ちながらも勝ち切れないレースが続いている東洋大学の不安要素について・・・過去10年の箱根成績はこのようになっております。今年は東洋史上最強世代と呼ばれる設楽世代が最終学年を迎え、3冠狙いを唯一宣言し、実際に実現の可能性があるのも東洋だけだと思えるほど戦力が充実していた東洋大学、出雲・全日本を見てもほぼ万全のオーダーに見えたのですが、いずれも駒澤に完敗しての2位、しかし、全大学中No.1の選手層、ハーフの実績も抜群の東洋は箱根だけは譲れない思いがあるでしょう。そんな東洋の不安要素について考察していきます。

 

まずは怪我明けの選手についてです。前々回の箱根までは、3大駅伝にピークを合わせるのが上手いだけではなく、怪我人・不調者がいなかったのも強さの一つでした。しかし、今年は前年度3大駅伝フル出場の高久が出雲・全日本に出場出来ず、前年の全日本7区区間賞の佐久間も走ることが故障で全日本は走れていません。また、前回の箱根で5区を走った定方も故障明けでした。今シーズンの東洋がいまいち噛み合わない要因の一つに怪我があると思います。ただ、高久は1万m28分台の自己ベストを出して復活していますし、定方、佐久間も1万mで29分台を出すまで戻ってきています。ただ、怪我明けの選手というのはどうしても不安な面もあるので、層の厚い東洋で起用されるかどうか・・・万全の状態でオーダーを組めるかどうかが鍵になってきます。

 

また、今シーズンはエース力にも若干の不安があります。設楽兄弟、勇馬、田口を揃えていて何を言うのかという意見もあるかと思いますが、東洋が狙っているのはあくまでも箱根での総合優勝のみ、となるとエース力は3強と呼ばれる駒澤、日体大と比較する必要があります。対駒澤でみると、勇馬こそ西山に出雲・全日本ともに圧倒していますが、啓太は窪田に出雲・全日本で遅れをとり、悠太は出雲で村山、全日本で中村に30秒以上差をつけられ、田口は出雲で中村、全日本で村山に戦犯と呼べるほど大きくやられてしまいました。ただ、箱根となると、悠太・田口は2年連続区間賞、啓太は前回2区で日本人トップと安定した結果を残しています。今年一段と成長を遂げた村山、中村相手に箱根でどこまで渡り合えるのかが、駒澤相手には大事になってきますね。

 

また、対日体大で見ますと、山中、服部の二人に出雲では田口、悠太が遅れをとり、全日本では田口、勇馬が遅れをとっています。山となると服部はさらに別格の力を発揮してきますし、矢野、本田といった怪我・調子が心配された日体大の主力も上尾ハーフで62分台と順調な仕上がりを見せており、エース対決で駒澤・日体大を相手にともに遅れを取るようですと、箱根制覇は難しいでしょう。出雲・全日本ともにピリッとしなかった設楽兄弟・田口の箱根への調整力、箱根での強さに期待したいところです。

 

山も東洋の不安要素の一つです。5区は前回10位で日体大に大きく差をつけられましたし、6区を4年連続で走った市川が抜けたことで、6区の人選も気になるところです。酒井監督は5,6区で140分を見込んでいるという話をしていました。5区80分、6区60分というのが一つの基準となりますね。それだけ、目処が立っているということでしょうか?ただ、東洋の主力で山に適性のある選手がいれば前回走っているでしょうし、5区が凌ぐ区間となると苦しいところですね。5,6区で日体大との差をどれくらいで抑えられるのか、駒澤を上回ることが出来るのか?が、箱根の行方を占う上で最大のポイントとなりそうです。

 

最後はプレッシャーです。3冠を狙ったにも関わらず、出雲・全日本を落としていて後が無い状況、5大会連続2位というどうしても勝ち切れない状況、さらに今年の4年生は設楽兄弟を始め、大津、延藤、佐久間、定方、日下といった3大駅伝経験者がごっそりと抜けてしまいます。特に設楽兄弟の抜ける穴はあまりにも大きすぎます。今回の箱根は何が何でも勝たなければ、来年以降厳しいということは監督・選手もわかっているでしょう。それはモチベーションを高めることにもつながりますが、プレッシャーにもつながります。果たして、連続2位からいい方向に脱却出来るのか?それとも悔し涙を嬉し涙に変えることが出来るのか?東洋の意地に期待したいところです。

 

恐らく、不安要素は最も少ない大学の一つだと思います。実質、5,6区だけだと思っています。ここを上手く走れれば優勝が見えてくるでしょう。箱根で実績のある選手が多いのも強みですね。優勝争いをすることはほぼ間違いないと思います。後は優勝争いではなく、優勝出来るかどうかですね。それが全てです。最強世代が最上級生、最高の選手層を抱える東洋の最後の戦いに期待したいところです!!

 

※ちなみに、今年4年生の穴が大きいのは事実ですが、それでも1万m上位10人の平均持ちタイムは東洋がトップを維持しそうです。28分台を5人抱え、10番手でも29分半を切っていますからね。持ちタイムから見ると、優勝争いを出来るチームということになりますね。とはいえ、ライバルの駒澤には中村、村山が残りますし、勇馬、田口といったエース格のさらなる成長が求められることになりそうです。

 

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